そうだ、免許を取りに行こう。

 バイクになんの興味もなかった。というより乗り物というものに興味がない。なぜなら、酔うのだ。電車でも酔う。流れるプールの浮き輪でも酔う。人一倍、揺れに弱い。そんな僕がバイクの免許を取りにいこうと思ったきかっけはしごく単純である。

「かっこ良かった」のである。

 ある夏の昼下がり、和歌山方面へドライブしていたときのこと。インターを降りて信号待ちしていると、ドドドドという重低音を響かせて、2台のバイクがわがマークXの横に停まった。ぶっとい腕をむき出しにして、サングラスをかけたワイルドなオヤジが、これまたアメリカン映画に出てきそうなグラマラスボディのおねえちゃん(そのときはおねえちゃんやと思ったが、今にして思えばおばはんやったんやろうな〜)に何やら語りかける。そして信号が変わるやいやな、ドドドドドっと去っていってしまった。

 かっこい〜!

「あれほしいな〜」「買ったら」「うん」

 僕が、バイクというよりも、ハーレーに興味を持ったきっかけである。

 思い立ったらがまんのきかない方である。翌日、神戸方面にドライブがてら、さっそくディーラーに寄った。そこではじめて、大型免許の存在を知る。なんと、ハーレーを乗るには大型自動二輪というものがいるのか!原付免許では乗れんのか!

「免許を取りたい」「取ったら」「うん」

 今にして思えば、一番かっこいいのは、うちの母ちゃんかもしれん。